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2015年に排ガス不正問題を起こしたドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループが10日、2016年の新車販売台数を公表した。2015年と比べて3.8%増の1031万2400台だそうです。2015年に世界一だったトヨタ自動車は、2016年の実績見込みを1009万1000台としているため、VWが念願の世界一の座につくことがほぼ確実視されている(トヨタは正式な販売実績を1月下旬に公表する)。

ああ、なんてこった。世も末だ。

排ガス量を測定する試験の時だけ、排ガス量を減らす装置を稼働させるという悪質な不正をやっていた会社の車をなぜ買うのか。排ガス量が少ないと信じて買った人を欺く行為を堂々とやってのけた会社ですよ。世界にVWしか自動車メーカーが存在しないなら分かるけど、いったいどういうことなんだ。と思って発表資料をよく見たところ、、、

  • 2015年と2016年の全世界における新車販売台数の差=38万1900台
  • 2015年と201年の中国市場における新車販売台数の差=43万3600台

ということで、増加要因はほぼ全て、中国市場の伸びということで説明できることが判明した。中国を除くと、販売台数はむしろ減っている。地域別の増加率を抜き出してみると、

  • 中国 +12.2%
  • ドイツ +0.2%
  • 米国 ▼2.6%
  • ロシア ▼4.3%
  • ブラジル ▼33.9%

となっている。ブラジルの落ち込みっぷりは、不正の影響というよりは、景気低迷が深刻化しているってことだと思います。ちなみに、日本市場の数字はVWの10日の資料には出ていない。日本自動車輸入組合のHP内を探索すると、13.8%減という数字があった。これはVW傘下のアウディやポルシェなどの数字は入っていないため、VWグループ全体の数字と比較することはできない(ちなみにアウディは3.1%減)。ただ、日本人が、不正に対して厳しい態度(問題企業からモノを買わない)を取る人々だということを示していると思う。

なお、VWのグループ全体の新車販売台数(1031万2400台)のうち、中国市場の比率は38.6%(398万2200台)を占める。ドイツ本国の比率が12.5%(129万2000台)に過ぎないことを考えると、VWが中国市場にいかに注力しているかが分かる。今のところ、VWの中国重視路線は功を奏しているように見える。ただ、中国経済が悪化したら、VWも大やけどをすることは確実だ。マティアス・ミュラー最高経営責任者(CEO)らVW幹部は、危険な勝負に出ているように思うが、どうだろうか。

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