インターネット広告費が年々、増えているという話。ニュースで知識としては持っていたが、なんでそんなにふえるのかなあと思っていた。が、ブログを始めてみて、あっさり理解できた。これは、今後も増え続ける。新聞や雑誌などに広告費が戻るわけがない。
まずは直近の広告費についておさらいしてみよう。今をときめくエクセレントカンパニーの電通様が、日本の広告費の推移について数字を出している。2015年の媒体別の広告費を拾ってみる(折り込み広告などは含まれていない)。
- テレビ 1兆9323億円
- インターネット 1兆5940億円
- 新聞 5679億円
- 雑誌 2443億円
- ラジオ 1254億円
インターネット広告が、テレビ広告に肉薄している。この数字、2008年はこんな感じだった(ネット広告は、テレビ広告の3分の1くらいの規模)。
- テレビ(衛星メディア含む) 1兆9768億円
- 新聞 8276億円
- インターネット 6983億円
- 雑誌 4078億円
- ラジオ 1549億円
2008年から2015年の変化率を計算すると
- インターネット 2.28倍
- テレビ 2%減
- 新聞 31%減
- 雑誌 40%減
- ラジオ 19%減
全体は6兆6926億円から6兆1710億円と、8%減だった。まとめると、主要4媒体(新聞、テレビ、雑誌、ラジオのことをこう呼ぶらしい)のうち、テレビは健闘。広告市場全体が縮小する中、小幅減で踏みとどまった。残る三つは、減り幅の違いこそあるものの、壊滅状態(ラジオはそこそこ頑張ってるが)。その減った分を、ほとんどインターネット広告に持っていかれたということだ。
さて、ネット広告が増えている理由だが、これはブログをやってる人なら、知らない人はいないだろう。テレビや新聞などに広告をだしても、効果がどのくらいあるのかはよく分からない。企業イメージを上げるという意味では、テレビ広告は有効かもしれない。が、物を買ってもらいたい場合は、ネット広告が有効だ。その一つが、人気のあるブログに広告を貼ってもらい、契約や購買などに結びついた場合、お金を払うという「成果連動型」広告だ。いわゆるアフィリエイトと言うやつだ。
ブロガーは、契約や購買に結びつかなければお金をもらえないので、一生懸命宣伝する。うまく宣伝して、商品やサービスが売れれば、ブロガーはお金をもらえる。商品やサービスの売り手は、広告費を払うかわりに、新たな顧客を獲得できる。ブロガーと広告主は、Win-Winの関係なのだ。
考えてみればすぐ分かる話だ。もし自分が広告を出す立場だったら、成果につながるかどうかよく分からない新聞やラジオに広告を出すよりも、成果につながりやすく、かつ少額から出せるネット広告の方を好むのではないか。
今後も、ネット広告の市場規模はどんどん増えていくだろう。そして、その恩恵にあずかっているのは、サイバーエージェントとか大手ネット広告企業だけでなく、ひびせっせとブログを書いているブロガーたちなのである。さらに言えば、「自己アフィリエイト」という仕組みもある。自分のブログに広告を貼って、その広告から商品を買えば、何%かキャッシュバックされるという仕組みだ。A8.net など、自分のブログを持っていなくても、自己アフィリエイトできるサービスも出てきた。自己アフィリエイトは事実上の割引だが、企業にとっては広告費となる。新聞・ラジオ・雑誌への広告費を削ってでも、こちらを増やした方が、確実に売り上げにつながる。アフィリエイトなら【A8.net】などのサービスを使わない消費者は損しているのと同然だから、利用者が増えることはあっても、減ることはないだろう。
ということで、斜陽産業の一角である「新聞・ラジオ・雑誌」の広告収入は、残念ながら、今後も急ピッチで減り続ける。悔しかったら、自らもネットの世界で勝負するしかない。