2013年9月発表のオックスフォード大のマイケル・オズボーン氏らによる論文。あちこちで引用され、話題になっているのは知っていたものの、未読だった。このブログを始めるにあたって、原典に目を通してみた。
この論文は、702種類の職業について、コンピュータ化によって消える確率がどの程度あるのかを列挙したことに最大の特徴だ。率直なところ、「ホントかなぁ」と首をかしげざるを得ない部分も多かったが、考える材料には大いになった。いくつか抜き出してみたい(職業を示す英単語が難しすぎ、いったいどんな仕事なのか分からないものもあった。下に列挙したのは、比較的、理解しやすかった職業という側面もある)。
【コンピューターに取って代わられる確率が高い仕事】
- 時計修理業 0.99
- 銀行の窓口係 0.98
- 銀行の融資担当者 0.98
- モデル 0.98
- レストランのコック 0.96
- 原子炉オペレーター 0.95
- 自転車修理業 0.94
- ウエーター&ウエイトレス 0.94
- 小売業のセールスパーソン 0.92
- ツアーガイド 0.91
- タクシードライバー 0.89
- 建設作業員 0.88
- 理髪業 0.8
注・数値が「1」に近いほど、コンピューター化が進むと予想。みんなで一緒に斜陽産業への道を歩もう(苦笑)。
【コンピューターに取って代わられにくい仕事】
- レクリエーショナルセラピスト 0.0028
- ソーシャルワーカー 0.0035
- 医師・外科医 0.0042
- 歯科医 0.0044
- 中学校の教師 0.0078
- 聖職者 0.0081
- 正看護師 0.009
- メーキャップアーティスト 0.01
- 薬剤師 0.012
- ファッションデザイナー 0.021
- インテリアデザイナー 0.022
注・数値が「0」に近いほど、コンピューター化が進みにくいと予想。
これをみると、「手に職」系がやはり強い。医療や介護、福祉関連の仕事のほか、文化・芸術系も意外と強い。心を病む人々が増えるのか、セラピスト系や宗教関係者も、残るようだ。悩み相談に乗るのは、コンピューターには難易度が高いらしい。
一方、ある意味では芸術の範疇に入ってもおかしくないレストランのコックや理髪業が「消える職業」に入った。もちろん、ミシュランで星を取ったレストランのシェフあたりになれば失職することはないだろうが、例えばチェーンのファミレスなどで調理を担当するのは、遠からずロボットになってしまうということか。好みの髪形をあらかじめコンピューターに入力しておけば、あとは自動的に髪を切ってくれるマシンなんていうのは、技術的には現時点でも可能だと思う。そうなったら、なじみの理髪店のおやじと会話を楽しみながら切ってもらいつつ、近所の人たちのうわさ話を聞くなんてこともできなくなる。
給与がいいことで知られる金融系も、今後は生き残りが難しくなっていくようだ。日本のメガバンクが潰れるということはないだろうけど、窓口業務という仕事の必要性が徐々に薄れていくことは間違いない。融資も、相手先企業の財務データからコンピューターが、「担保があるなら、このくらいの金利で貸し出しOK」とか判断する時代になるのかもしれない。
銀行員の皆さん、いかがですか。