斜陽産業からの脱出に成功した友人・知人たちを紹介するシリーズ。2回目は、銀行員から、一念発起して公認会計士に転じた高校時代の友人Z君の話。1回目の「大手スーパー社員の場合」はこちら。
Z君は男にしておくにはもったいないくらい肌がきれいで、しかも童顔。文化祭で、女装した男たちによるミスコン?では、ぶっちぎりで優勝した経歴を持つ。そんな彼は、学業も優秀だった。学習塾に通うことなく、日本で最高水準にある国立大学に現役合格した。そんな彼が就職先に選んだのは、某都市銀行。当時は、まだ3メガバンクに集約される前で、10行以上の都銀があった。その中でも彼が選んだ都銀は経営状況も良く、給料もいいことで知られていた。
「良いところに入ったな~」と思っていたが、実際に働く彼にとっては、あまり楽しい毎日ではなかったらしい。自転車で預金集めやら、金融商品を買ってくれる人を探したりする日々に、徐々に違和感を感じるようになった。ただ、職場が嫌になったからといって、すぐに辞めるようなことをせず、少しずつ転身の準備を始めた。在職中に中小企業診断士の資格を取得した後、公認会計士試験の準備に入るため、退職した。それから何年かかかったかよく覚えていないが、退職からほどなく公認会計士試験に合格。現在、いわゆる4大監査法人の一角で働いている。
実は、会計士も「コンピューター化で消える可能性がある職業」と指摘されている。数字が中心で、理屈や感情が入り込む余地がほとんどない仕事だからだ。そういう意味では、彼は斜陽産業から完全に脱出した訳ではないかもしれない。ただ、銀行での勤務経験があり、大手監査法人でのキャリアがあれば、今度はどこかの企業の財務部あたりに転じる道が開けるだろう。人生の幅を広げたという意味では、斜陽産業からの脱出を果たしつつあると言えるのだ。
彼の努力には、本当に頭が下がります。